かわいい顔立ちとは裏腹に、世界最強の毒蛇と言われる「ブラックマンバ」。
強力で即効性の高い猛毒を持つため、噛まれてしまった場合、適切な処置を行わなければ確実に死に至る。過去には百獣の王ライオンですら追い払う様子が確認されているようだ。
今回は、最強の毒ヘビ「ブラックマンバ」の特徴や生態、天敵、最強と言われる理由について迫ってみよう!
ブラックマンバ
ブラックマンバとは、コブラ科マンバ属に分類される毒蛇の一種。コブラ科のヘビには独特な形や鮮やかな体色を持つものが多いが、ブラックマンバの場合は控えめな見た目をしている。
体格はとても大型で、毒蛇の中で最大の種であるキングコブラに次いで2番目に大きい。体長はおおよそ2~3mほどであるが、大きな個体では4mを超えることもあるようだ。
また、ブラックマンバは毒の量が多いことに加え、毒性が非常に強く即効性も高い。このことから、専門家の間でも「世界で最も恐ろしいヘビ」と言われることも多い。
ブラックマンバの生息地
ブラックマンバの生息地はアフリカ大陸の広範囲。サハラ以南の東部から南部、西部の一部に生息している。
生息環境は、サバンナや岩山などの適度に乾燥した地域から少し湿った森林地帯。場所をえり好みせずに生活し、岩穴や木の割れ目などに潜んでいることが多い。地上での移動はもちろん、木登りも得意なようだ。
ブラックマンバの特徴
ブラックマンバと名前に色が付いているものの、体色は灰色や褐色など個体によって異なるがブラックではない。
ブラックマンバの名前は口の中が黒いことに由来しており、敵を威嚇する際に口を大きく開けることで確認できる。
毒ヘビの中では2番目に大きいが、体が細いために体重は1.5kg程度とそれほど重くない。毒を放出する牙は最大で6.5 mm。尾は長く全長の15~25%を占める。
ブラックマンバの生態
他のヘビ同様に機敏に動き回ることができ、天敵の気配を察知すると素早く逃げる。猛毒を持つことから凶暴なイメージがあるが、警戒心が高く臆病な性格であるといわれている。
主食は哺乳類や鳥類などの小動物。特に樹上の鳥の巣を襲うことが多いようだ。普段は隠れ家に潜み、狩りを終えると元の隠れ家に戻る。飲み込んだ獲物は8~10時間ほどかけて完全に消化される。
繁殖期にはオス同士による「プレイティングコンバット(編み合う戦い)」が行われる。ブラックマンバは自分の毒に対する耐性が無いため、オス同士のケンカでは噛みつき合うことはなく、相手の頭を押さえつけあうことで勝敗が決する。
メスは60~80㎜の卵を6~17個産み、40〜60 cmの子供が誕生する。子供たちは急速に成長し、1年後には2mに達することもあるそうだ。
ブラックマンバが最強と言われる理由
ブラックマンバが世界最強の毒蛇と言われる理由は複数ある。それぞれ、チェックしてみよう。
①強力な毒の成分
ブラックマンバの毒はとても強く、一説によるとマムシの毒の60倍にも達するという。
主に神経毒であるため後遺症が残ることは少ないが、治療法の研究が進んだ現在でも致死率は高く、噛まれたのちに治療を行わなかった場合はほぼ確実に死に至ると言われている。
②毒の即効性
ブラックマンバの毒は威力だけでなく即効性が高いことでも知られている。
ひとたびブラックマンバに噛まれれば、10分以内に痺れや感覚異常、めまいなどの症状が現れ、放置した場合には深刻な呼吸困難な意識障害をもたらす。状況にもよるが7〜15時間後には死に至る可能性が高いようだ。
③正確な攻撃性
基本的には神経質で臆病なブラックマンバ。通常は外敵から逃げ回るブラックマンバだが、逃げられないと判断した場合には恐ろしい攻撃者へと変貌する。
ブラックマンバは敵に噛みつく際に確実に毒液を注入する「正確な攻撃」を行い、相手がひるまなかった場合には何度も攻撃することが出来る。ブラックマンバは頭部が大きいため、保有している毒の量が多いというのもポイントだ。
また、ブラックマンバは自身の体長の40%もの高さまで体を持ち上げることが出来る。これは、人の胸元~頭部に届く高さであるため、腕や顔めがけて噛みつきを行うこともありうるのだ。
④ヘビ界最速のスピード
ブラックマンバが恐れられる理由は毒だけではない。彼らは時速16㎞という、ヘビの中でも突出したスピードで移動することが出来るのだ。
時速16㎞というと50mを11秒で走る計算。大した事ないように感じてしまうが、草木が生い茂りデコボコの足場という森林内の環境で、このスピードで追いかけられた場合、人間には成す術もないだろう。
ブラックマンバの天敵
最強と言われるブラックマンバにも天敵が存在する。マングースや大型のワシなどだ。
中でもマングースはブラックマンバの毒に対してある程度の抵抗力を持っており、素早いブラックマンバの攻撃をもかわすことのできる俊敏性を持っている。
普段から毒蛇を襲うことに慣れているマングースに出くわした場合、ブラックマンバの毒性をもってしても追い払うことは困難なようだ。
死者は意外と少ない?
ブラックマンバはとても危険性の高い毒ヘビであるが、「人への被害をもたらした毒ヘビ」としては、ブラックマンバによる被害は意外と少ない。
ブラックマンバが積極的に人間を襲う訳ではないことや、人間とブラックマンバの活動地域があまり重ならないこともあり、噛まれること自体が少ないようだ。
ある調査結果では、1957年から1963年までの南アフリカでのヘビ咬傷は900件を超えていたが、ブラックマンバによる被害が確認できたのは7件のみだったそうだ。
ただし、ブラックマンバに噛まれた7人の被害者は全員死亡しているため、噛まれてしまえば一溜まりもないという事実には変わりない。
現在では血清なども開発され、適切な治療を行えば助かる可能性も高い。万が一、ブラックマンバに噛まれた際には早急に治療してもらうことをオススメしておこう。