『アブ』というと、「ハエの仲間・デカイ・ブンブンうるさい・人間を刺す」なんて不愉快イメージを持つ人も多いだろう。

しかし、今回紹介する「トラツリアブ」という昆虫は、今までのアブの概念を覆すかわいい姿をしていると話題になったこともある。 アブの仲間でありながら、モコモコフワフワのマスコットキャラクターのような見た目。過去にはポケモンのモデルになったこともあるのだとか!
今回はトラツリアブの特徴や生態、日本における生息地、幼虫の姿などを超絶可愛い画像や動画とともに見ていこう。
トラツリアブ
トラツリアブのかわいい画像
まずは、かわいいと絶賛されるトラツリアブの画像を見てみよう。
写真を見てわかるように、全身がモコモコした体毛に包まれており、ぬいぐるみのような見た目。口からちょこんと生えた口吻は、なんだかレトロなオモチャのようにも見える。
※以降、権利関係上、使える画像がほとんど見つからなかったため、イメージとして見た目の似た近縁種の画像を使用。申し訳ない!ネット上にはたくさんあるので詳しくは画像検索か上のYoutube動画を参照してくれ。

Marta Boroń CC BY 2.0
ちなみに、かわいいとしてネット上に出回っているトラツリアブの画像はほとんどメスの写真。オスのトラツリアブは外見こそ似ているものの、目が繋がっていてあまり可愛くはないと言われている。
トラツリアブとは?
トラツリアブとは、ハエ目ツリアブ科に属する昆虫の一種。大きさは体長10mmとミツバチ程度の大きさ。
ユーラシア大陸から日本にかけて広く生息しているが、日本においては特に生息数が少ない事が分かっている。
発見当初から希少な種とされており、現在も生息数が減少しつつある。ワンシーズンに100匹程度しか存在しないとの説もあるほど激レア生物だ。
1991年以降、長らく生息が確認されず絶滅も囁かれていたが、2005年にネット上にトラツリアブの画像が投稿されたことをキッカケに生存が確認され、「可愛い昆虫」として人気を博した。
トラツリアブの特徴
体長10mm程度の身体は、モコモコした黄〜茶色の体毛で包まれている。
頭部の中央には花の蜜を吸うためのストロー状の器官がついており、スズメのクチバシのようにも見える。
ツリアブという名前は、飛ぶ際に空中で静止してホバリングする姿が「吊られているように見える」ことから名付けられた。
トラツリアブが花の周りをフワフワと飛び回る様子はミツバチのようにも見える。この姿も可愛いと言われる理由の一つかもしれない。
トラツリアブの生息地
トラツリアブは生息地は、最も目撃例の多い岡山県をはじめ、大阪府や山口県、兵庫県など。その他、九州などの地域でも目撃例がある。
昆虫学者の松村松年によって、トラツリアブが初めて紹介されたのが1915年。当時から生息数が少ないとされていたが、近年はさらに減少しつつある事が分かっている。

生息地であっても見つけることは困難。運良く飛んでいる姿を見れたらとてもラッキーだ。
トラツリアブの生態
トラツリアブは何年ものあいだ生息すら確認できなかった絶滅危惧種。もちろん、毎年観察なんて出来る訳もなく生態や繁殖方法などは謎に包まれている。

分かっている点といえば、花の蜜を吸って生きているということ。ツリアブの名前の由来にもなったホバリングしながらの飛行を駆使して、小さな口吻で花の蜜を吸う姿が確認されている。
また、繁殖に関しては他のツリアブ同様に、バッタの卵しょうに卵を産みつけると考えられている、バッタの卵しょうで生まれたツリアブの幼虫はバッタに寄生しながら成長し、可愛らしい成虫へと変態する。
トラツリアブは刺す?
アブというと人や動物を刺す=害虫のイメージが強いが、トラツリアブの場合は刺す事は無いので安心だ。
そもそも、アブの中でも人体に危害を加えるのはイエシロオビアブ、ウシアブ、シオヤアブなど一部の種のメスのみ。これらのアブのメスは自らの卵を育てるため、動物や人間の皮膚に噛み付き、にじみ出た血液を吸う必要があるそうだ。
仮にトラツリアブが自分に向かって飛んできたとしても、はたき落としたりしないよう注意が必要だ。絶滅寸前ギリギリの超希少生物ということを忘れてはならない。