【コウモリ】空飛ぶ唯一の哺乳類!コウモリの種類と生態の不思議

悪魔やドラキュラなどのイメージが定着し、日本では忌み嫌われることも多いコウモリ。その生態に目を向けてみると面白い実態が浮き彫りになるでしょう。

日中は洞窟などで過ごしている夜行性の動物であるため、その姿をじっくり観察できることは稀です。今回はコウモリの特徴やあまり知られていない生態について見ていきます。

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コウモリ

コウモリは、脊椎動物亜門哺乳綱という哺乳類を指すカテゴリの中で、コウモリ目というグループに属する動物です。

私たちと同じ哺乳類でありながら自由自在に空を飛ぶことができ、視界の悪い暗闇の中でも超音波を使い周囲の情報を察知する能力を持っている不思議な生き物です。

日常生活では見かけることが少ないコウモリですが、世界各地で980種以上が確認されており、哺乳類の中ではネズミの次に種類が多い動物とされています。

ちなみに漢字では『蝙蝠』と書きます。

コウモリの特徴

コウモリの先祖たちは陸上生活を送る哺乳類でしたが、生態系の隙間に入り込むように特殊な能力を手に入れました。

ここでは、独自の進化に成功したコウモリの特徴を見ていきましょう。

鳥のように飛べる哺乳類

コウモリは鳥のように自力で空を飛ぶことで知られる特殊な哺乳類です。

哺乳類の中には、ムササビやモモンガ、ヒヨケザルのように高い場所から滑空する能力を持つものや、カンガルーのように驚異的なジャンプ力を得たものも存在しますが、完全に飛行できる哺乳類はコウモリだけです。

コウモリの種類によっては時速50kmでの飛行が可能と言われており、鳥類にも負けない飛行能力を持っています。

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翼は大きな前足

鳥のように羽ばたいて飛ぶことができるコウモリですが、飛ぶために手に入れた身体の構造は全く違うことが分かっています。

鳥は前足が完全な翼に変化していますが、コウモリは完全な翼を持っていません。

画像を見てもわかるように、コウモリの翼に見える部分は、とても長い指を備えた大きな手(前足)であり、指の間に薄い皮膜を貼っただけの状態なのです。

コウモリは、この独特な前足を得たことで哺乳類としての体を維持したまま、完全な飛行を可能としました。

体重がとても軽い

動物が飛行を可能とするためには、自身の体重が大きく関わってきます。そこで、コウモリは羽ばたくための筋力を残したまま、極限まで体重を減らしました。

日本にも生息するアブラコウモリは翼長20cm程の大きさに成長しますが、その体重は5g程であり、1円玉5枚程度の重さしかありません。

生まれたばかりの赤ちゃんは1円玉1枚よりも軽い1g以下ということもあるというから驚きです。

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コウモリの生態

恐竜や翼竜の絶滅に伴い、鳥類が空に広がり哺乳類が陸上を制していく中、コウモリ達はその隙間に入り込むようにニッチな生態系を築き上げました。

特殊な環境に対応すべく手に入れたコウモリ特有の不思議な生態をご紹介します。

コウモリの超音波

ココウモリに属する一部の種は、超音波を使うことにより洞窟などの視界が悪い暗闇の中でも壁にぶつかることなく飛べる能力を持っています。

反響定位はエコーロケーションとも呼ばれる情報収集の一種で、人間には聞こえない特殊な音を発する事で、物に当たって跳ね返ってきた音の反射から周囲の環境を察知することができます。

まるで潜水艦のソナーのような機能で、その精度はかなり高いと考えられています。

反響定位を使えるのはココウモリの中でも一部の種のみであり、大型のオオコウモリは反響定位の能力がないかわりにココウモリよりも視覚が発達しています。

反響定位を行う動物は、コウモリの他に鳥類やクジラなどが有名ですが、実は人間も訓練を行うことにより同じような能力をある程度得ることができるそうです。

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蚊や果物を食べる

コウモリは世界中に生息しており、その食性は生息地域によって様々です。

果物や花蜜などを主食とするオオコウモリや、飛んでいる蚊を反響定位によって察知し器用に捕食して飛び回るココウモリなど、生息環境に合わせた捕食対象を持っています。

また、吸血コウモリとも呼ばれるチスイコウモリは、ブタやウシなどの血液を吸うことでも知られており、コウモリの不気味なイメージを定着させました。ちなみに日本には吸血コウモリは確認されてないから安心してくださいね。

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コウモリの生息地

次はコウモリの生息地と生息環境について見ていきましょう。

生息地

コウモリは夜行性ということもあり、お住まいの地域によっては見たことが無いという人も多いかもしれませんが、南極大陸を除く全ての大陸に生息する最も生息範囲の広い哺乳類です。

哺乳類が現在のような進化を遂げたのが地球上の大陸が分裂した後であったため、陸上の移動しかできない多くの哺乳類は地域ごとに特有の進化を遂げました。

しかし、飛行能力を手にしたコウモリは大陸間を移動し孤立した島々までも生息範囲を広げていったのだと考えられています。

コウモリの生息環境

コウモリは洞窟に生息しているイメージが強いですが、多くの種が森林にも生息しており、種類によっては民家などの人工物にも住み着きます。

森林の伐採によって本来の住処を失いつつあるコウモリは都市部にも生息範囲を広げ、夜間人が少ないビルや倉庫、高架下などでも見つかることがあります。

意外と私たちの生活圏のすぐ近くにコウモリたちも生息しているかもしれません。

コウモリの分類

コウモリは細かく分けると980種以上確認されており、全ての種を紹介するためには1冊の図鑑が必要なほどです。

ここでは、特徴の違う『オオコウモリ』と『ココウモリ』という大きな2つのグループに分けて見ていきましょう。

オオコウモリ

オオコウモリはその名の通り、コウモリの中でも大型の種類です。最大で翼長が2mにも達するものもいます。

日本で馴染みのあるコウモリは潰れたような独特な顔をしているのと異なり、オオコウモリはいかにも哺乳類らしいキツネのような顔立ちをしています。このことから海外では『flying fox =空飛ぶキツネ』とも呼ばれます。

見た目が獰猛な肉食動物のようですが、主な食べ物は果実や花蜜という意外なギャップを持っています。

コウモリは暗闇で目が見えなくても大丈夫な印象が強いですが、オオコウモリは生活のほとんどを視覚に頼っており、コウモリ特有の超音波による反響定位も使えないと考えられています。

ココウモリ

オオコウモリが大型なのに対し、ココウモリは翼長が数十センチの小型のコウモリです。

オオコウモリよりも圧倒的に種類が多く、生息環境に合わせ独特な進化を遂げた、特殊な生態を持つものも多くいます。

多くのココウモリは目が発達していない代わりに、超音波による反響定位を行うことができます。これにより、光のない暗闇の中でも周囲の情報を把握し自由自在に飛び回ることが出来ています。

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コウモリの種類

世界各地のコウモリたちは、それぞれの生息環境に合わせて姿や生態を変化させてきました。ここではちょっと珍しいコウモリの代表的な種について紹介します。

アブラコウモリ

まず紹介するのは、日本でもよく見かけることが出来る小型のコウモリ『アブラコウモリ』です。

アブラコウモリは家屋の軒下や屋根裏など、人の作った建造物に住み着くことから日本人にとって最も身近なコウモリと言えます。逆に洞窟や樹林などの自然環境にはほとんど生息していないと考えられています。

1.5㎝程の隙間があれば自由に出入りすることが可能で建造物のわずかな隙間に入り込み生活することから、近年では衛生面に悪影響を及ぼす害獣として嫌われていますが、家の周辺の蚊などの害虫を捕食してくれるというメリットもあります。このようなことから、かつてはコウモリの住み着く家は縁起が良いとされていました。

オオコウモリ

空飛ぶキツネという異名を持つ最大種のコウモリ『オオコウモリ』。その大きさは翼長2mに達するというから驚きです。

肉食動物のような顔立ちをしていますが主に果物類を食べることが分かっています。コウモリの中でも視覚が発達しているオオコウモリは、空を飛びながら食料を探しまわります。

チスイコウモリ

『チスイコウモリ』は、その名の通り動物の血を吸う事で知られた『吸血コウモリ』です。

コウモリといえば血を吸うために人間に襲い掛かるイメージが強いのですが、哺乳類の血を吸う習性を持っているのは本種のみで、人間に襲い掛かるという事も少ないです。

チスイコウモリの唾液には血液を固めないようにする成分が含まれており、噛みついた傷口からぺろぺろと血を舐めることで吸血します。

血を吸って満腹になったチスイコウモリは、身体が重くなり飛べなくなってしまうという可愛らしい一面もあります。

シロヘラコウモリ

一見するとコウモリには見えない『シロヘラコウモリ』は、マスコットキャラクターのぬいぐるみのような、もふもふの可愛いコウモリです。

夜行性のシロヘラコウモリは、日中になるとヘリコニアという植物の大きな葉をテントのように使って休みます。数匹が集まって休んでいる様子は、まるで植物の一部のようにも見えます。

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ウサギコウモリ

この『ウサギコウモリ』は、見た目の通りウサギのような耳を持つ小型のコウモリです。

洞窟を主な住処としていますが、樹洞や人工物などにも住み着くことが出来ます。日本でも、北海道・本州・四国で生存が確認されています。

アノウラ・フィスチュラタ

最後にご紹介するこのコウモリは、自身の体長の1.5倍にも及ぶ長い舌を使って花の蜜を吸う奇妙なコウモリです。

『アノウラ・フィスチュラタ』は、8.5㎝もの長い舌を花の奥まで押し込み花蜜や虫などを捕食します。この長い舌を収納するため、舌の付け根が胸郭にあるという変わった構造をしており、コウモリの中でも独特な進化を遂げています。


コウモリについての生態や特徴についてご紹介しました。

コウモリは意外にも世界各地で繁栄している哺乳類だったわけですが、日本ではコウモリの研究者が世界に比べて少ないため、生息範囲や生息数などの日本におけるコウモリの現状があまり分かっていないそうです。

もし「将来は動物の研究者になりたい!」なんて子がいたら「コウモリ」も穴場で良いかもしれませんよ!

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