タツノオトシゴ

【タツノオトシゴ】オスが出産!不思議な生態トリビア11選

海の生物として人気の高いタツノオトシゴ。奇妙な姿をしていることはご存知の通りだが、その生態については詳しいという方は少ないのではないだろうか。

そこで今回は、タツノオトシゴの不思議な生態や生物としての分類、変わった出産方法についてご紹介しよう!

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タツノオトシゴ

タツノオトシゴとは、【トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属】に分類される魚の総称。

熱帯から温帯の浅い海に生息しており、一部の種は汽水域にも進出している。日本の沿岸でも岩礁域・藻場・サンゴ礁などで見つけることができる。

タツノオトシゴの種類は多岐に渡り、成体でも1㎝程度のものから最大35㎝を超えるものまで多様な種類のタツノオトシゴが確認されている。

また、同じ種類のタツノオトシゴでも個体差が大きいため見分けることが難しく、21世紀に入ってからも次々と新種が見つかっている数少ない魚のひとつだ。

タツノオトシゴの分類

タツノオトシゴは『トゲウオ目ヨウジウオ科』というグループに分類される水棲生物。見た目こそ魚には見えないが、れっきとした魚の一種だ。

ヨウジウオ科の魚類はパイプフィッシュとも呼ばれており、長い体に細長い口吻を持っているのが特徴的だ。

背びれもシッカリ付いてるタツノオトシゴ

背びれなど『魚の特徴』を持っているのが分かる。

タツノオトシゴは熱帯~温帯の暖かい地域に生息する海水魚で、比較的陸地に近い浅瀬に生息している。タツノオトシゴの仲間は50を超える種類が見つかっており、近年でも複数の新種が発見されている。

リーフィーシードラゴン・タツノオトシゴの近縁種

タツノオトシゴと近い種類(ヨウジウオ亜科)のリーフィーシードラゴン。最大40cmを超えるタツノオトシゴの仲間。

タツノオトシゴの仲間であるリーフィーシードラゴンのように、海藻に擬態する「まるで昆虫のような」特徴を持っている者も多く存在している。

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タツノオトシゴの名前の由来

タツノオトシゴは、漢字では『竜の落とし子』と書く。

昔の人たちはこの奇妙な身体を見て『竜=ドラゴンの子供』を連想したようだ。タツノオトシゴを知らない人々が、「間違いない!これはドラゴンの子供だ!」と考えたのだろう。

タツノオトシゴは竜に似ている

タツノオトシゴは地域ごとの呼び名も多く、「龍宮の駒」などの龍を連想させる名前や、「海馬」などの馬を連想させる名前など様々な別名を持っている。

ちなみに、海外での呼び名は「Seahorse=シーホース」であり、日本語に直訳すると「海の馬」となる。

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タツノオトシゴは虫だと思われていた

そんな奇妙な姿のタツノオトシゴ。実は19世紀ごろまでは虫だと思われていたそうだ。19世紀の虫図鑑の中にはタツノオトシゴも描かれていたんだとか。

海藻に尾を巻き付けるタツノオトシゴ

ヨーロッパの学者の間では「タツノオトシゴをどの分類するべきか」で意見が別れており、長い間カニとヒトデの間の生物という微妙な位置づけに分類されていたそうだ。もちろん、現在では魚類に分類するのが常識となっている。

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タツノオトシゴはオスが妊娠・出産する

タツノオトシゴは見た目だけでなく繁殖方法も独特だ。タツノオトシゴは動物の中でもかなり珍しい「オスが妊娠・出産をする魚」なのだ。

白いタツノオトシゴの交尾
カップルになったタツノオトシゴ

タツノオトシゴのオスはメスを見つけると、尾を絡ませてダンスを踊るように求愛する。その後、パートナーになることに成功するとメスはオスの育児嚢(いくじのう)と呼ばれる特殊な袋に卵を産みつけるのだ。

数時間に分けて産卵を繰り返して行くとオスのお腹はポッコリと妊娠したように膨れ、タツノオトシゴのお父さんが『ご懐妊』するというわけだ。

タツノオトシゴの赤ちゃん
タツノオトシゴの子ども

卵が孵化する約2~3週間もの間、オスはお腹の中で卵を守り続ける。

その後、父親のお腹の中で孵化した子どもたちは、しばらくの間を安全なお腹の中で過ごし、時が来ると出産されるように父親のお腹から飛び出していく。種類によっては一度に1000匹以上の稚魚が飛び出すというから驚きだ。

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タツノオトシゴの干物は中国では高級な漢方薬

「タツノオトシゴは食べられない」と思っている方も多いようだけど、実は中国をはじめとしたアジア各国では、タツノオトシゴの干物を漢方薬として使う風習が残っているという。

タツノオトシゴには滋養強壮や精力増強などの効果があると言い伝えられているのだ。

タツノオトシゴの干物・漢方薬

漢方薬の原料となるタツノオトシゴの干物は、かつては日本でも漢方薬局で購入できたらしいが、現在では野生種の保護の観点からタツノオトシゴの干物本体は中々手に入らないようだ。

しかし、スーパーやコンビニなどでも売っている栄養ドリンク(精力剤)の原材料を見てみると『タツノオトシゴ粉末』などと書いてある。

みんなも知らないうちにタツノオトシゴを食べたことがあるかもしれない。

日本では安産お守り

日本の一部の地域では、タツノオトシゴは縁起の良い魚とされ『お守り』として干物を持ち歩く風習もあったそう。

タツノオトシゴ

ポッコリお腹が妊婦さんにも見えるけど、この個体はメス。メスは妊娠しないけどお腹がポッコリしている。

タツノオトシゴは卵を産み付けるだけでなく、お腹の中で稚魚を守り続け成長を見守る事などから、『安産祈願のお守り』として妊婦さんに持たせるとご利益があるとのことだ。

近年では廃れつつある風習らしく知らなかった方も多いかもしれない。というより、タツノオトシゴの死骸を持ち歩くなんて、最近の女性は気持ち悪いと感じるかも。

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ちりめんじゃこにはタツノオトシゴが混ざっている

普通にスーパーで売られているような、市販の「ちりめんじゃこ」「干しシラス」には小さなタツノオトシゴが混じっていることがあるという事を知っている人がどのくらいいるだろうか?

タツノオトシゴ

これらの食品にシラス以外の小魚が混じってしまう事は珍しくないようで、1㎝にも満たないとても小さな「小魚・カニ・エビ・イカ・タコ・シャコ」などが混じるそうだ。ここに、ごくまれにタツノオトシゴも混じっているという。

ちりめんじゃこに混じってしまった生物を「チリメンモンスター」と呼び、探し出すのを楽しみにしているマニアもいる。なんと、子どものコバンザメが出てくることもあるのだとか。

手軽に購入できて最後はおいしく頂けるちりめんじゃこ。タツノオトシゴ探しを夏休みの自由研究の題材にしてみても面白いかもしれない。

タツノオトシゴ
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