季節も暖かくなりキャンプやピクニックなど自然の中で遊ぶ予定を立てている人も多いだろう。そんな中、注意しなければならないのが野生生物による被害だ。
今回ピックアップする『スズメバチ』は森林から身近な公園にまで進出している割と身近な生物でありながら、毎年20人前後の死者を発生させている危険生物なのだ。

そこで今回は、日本にいるスズメバチの種類のほか、スズメバチの危険性、巣の形状について見ていこう!
スズメバチとは?
スズメバチとは、ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科に属する飛行性の昆虫。1匹の女王バチを中心とした大きな巣を形成する社会性の蜂で、時として数千匹もの蜂が集まったコロニーを形成することもある。

スズメバチは蜂の中でも特に攻撃性、毒性が高く、日本だけでも毎年20人前後の死者が発生している危険生物だ。
刺された場合、すぐに強烈な痛みが襲い、数分後には患部の炎症と腫れが発生する。過去に1度刺されたことがある場合は短時間でアナフィラキシーショックを起こし呼吸困難に陥る可能性が高い。初めて刺されたとしても、吐き気や頭痛、発疹が発生した場合は躊躇せず救急車を呼ぶ必要がある。

強い防衛本能を持っているため巣に気が付かず近づいてしまう事で襲われることが多い。スズメバチからの最終警告である「カチカチ」という警告音が聞こえたら一早く逃げなければならない。
スズメバチは特に危険な蜂!
必ずしも『蜂=危険』ではないといっても、「危険な蜂がいない」という訳ではない。日本で人を刺す蜂として代表的なのは「スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ」の3種類だ。

特に危険なのが「スズメバチ」で、巣の危険を感じると凶暴な好戦モードになり強力な毒針で刺して来る。一度攻撃されると毒液に含まれる警報フェロモンによって大量のスズメバチが襲い掛かることもある。最悪の場合、急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)によって呼吸困難に陥り死に至ることもあるのだ。
スズメバチに刺され死亡したケースでは1時間以内の死亡例が多い。今回紹介するスズメバチの画像を見ておけば、刺した蜂がスズメバチかどうかを見分けることもできる。「救急車を呼ぶべきか」の判断が迅速にとれるだろう。
スズメバチの種類
オオスズメバチ
北海道から九州に生息する世界最大のスズメバチ。働きバチの体長は3-4㎝。

秋になると新女王バチと雄バチを育てる為の負担が増大し凶暴性を増すと言われている。ミツバチや他種のスズメバチの巣を襲い成体を全滅させた後で、幼虫やサナギを奪い去り食料として保存することもある。
キイロスズメバチ
正式には「ケブカスズメバチ」と呼ばれ、名前の通り全体的に黄褐色の毛で覆われているのが特徴。キイロスズメバチもオオスズメバチ同様に非常に攻撃性が高い。

軒下や樹木の枝などに巣を作る最も都会に適応した蜂の一つだ。最大規模の巣を持つことでも知られており、大きなものでは直径1mを超えることもある。

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軒下などで巣を見つけた場合、見えないところに1000匹以上の蜂が潜んでいる可能性もある。すぐに業者に連絡が必要だ。
コガタスズメバチ
体長2-3㎝とやや小型のスズメバチだが、見た目はオオスズメバチに似ており見分けるのが難しいとされる。

威嚇性、攻撃性はあまり高くないとされるが、巣が小さいために気が付きにくく、剪定作業中などに巣を傷つけてしまい襲われるケースが多い。
ヒメスズメバチ
尾部が黒いことから他のスズメバチと見分けることができる。都市部であってもよく見られる種の一つだ。

威嚇性が高く侵入者の周囲を飛び回ることが多いが、攻撃性は低く毒性も特に強いという訳ではない。
モンスズメバチ
日本からヨーロッパまで広く分布する中型のスズメバチ。天井裏や空き家などの閉鎖空間に巣を作ることが多い為、巣の発見が遅れてしまう厄介なスズメバチだ。

幼虫の主食がセミであるため、開発や環境破壊などの人間の活動によるセミの減少に伴い、個体数が減少しつつあると言われている。
チャイロスズメバチ
日本では中部地方以北に生息し、個体数も少ない珍しい「レアスズメバチ」だ。強靭な外皮を持っており、オオスズメバチの大顎や毒針すらも通さない防御力を備えている。

モンスズメバチ、キイロスズメバチ等の巣を乗っ取ることが分かっており、「社会寄生性スズメバチ」と呼ばれている。珍しいスズメバチとはいえ、攻撃性も高く毒針も持っているので注意が必要だ。
ツマアカスズメバチ
全体に黒っぽい身体を持っており、腹部の先端が赤褐色であるのが特徴。攻撃性は非常に高く、一度警戒されると執拗に追跡してくることもある。

本来は日本にいなかったスズメバチであるが、全世界的に生息範囲を広げており、日本では2013年に対馬で定着が確認された。現在では特定外来生物に指定されている。
ツマグロスズメバチ
沖縄など西南諸島に生息する2㎝ほどの小型のスズメバチ。腹部がはっきりと黄色と黒に別れているのが特徴。

台風が多い地域の為、地面近くに巣を作ることが多く、農作業中などに刺されることが多い。
クロスズメバチ
全身が黒く白い縞模様があるのが特徴。森林や畑、河原などの土の中に巣を作る。

毒性もさほど強くなく比較的おとなしい。長野県などの各地域では「ヘボ、ジバチ、タカブ、スガレ」などと呼ばれ、食用のための養殖も行われている。