世界を代表する三つのものを「世界三大○○」と例えることがある。世界三大美女や世界三大料理などだ。
動物に関してもいくつかの「世界三大」が存在するが、今回は珍しい世界の動物を集めた「世界三大珍獣」について、「どんな動物が含まれているのか?なぜその動物が三大に選ばれたのか?」などについて見て行こう!
世界三大珍獣とは?
世界三大珍獣とは、「ジャイアントパンダ」「コビトカバ」「オカピ」という3種の動物を指したもの。ときおり、いずれかの動物が抜けて「カモノハシ」が含まれることもある。
注意しておきたいのは、この「世界三大○○」とは具体的な数値や研究結果に基づくものではなく、「通説」として社会に流布しているものであること。どこかの機関が決定しているわけでもない。

つまり、「いつ誰が言ったか知らないけれど世界三大○○といえばコレ」といった、「みんながそう言っているから」という理由で世界三大とされているものばかりなのだ。
また、ほとんどの「世界三大○○」は日本で生まれ日本国内でしか使われていない。世界三大珍獣といっても日本人にしか通用しないことも覚えておきたい。
世界三大珍獣の動物
それでは世界三大珍獣はどんな動物なのだろうか?ここでは画像とともにそれぞれの動物の珍しいポイントや特徴について見てみよう。
ジャイアントパンダ
ジャイアントパンダは、中華人民共和国の甘粛省、四川省、陝西省の限られた地域にのみ生息するクマ科の生物。

ジャイアントパンダ発見当時、先に発見されていたパンダ(レッサーパンダ)の、大きな新種であると思われたため「ジャイアントパンダ」と名付けられ、元々のパンダには「より小さい」を意味する「レッサー」が付けられレッサーパンダとなった。
1869年にフランス人の宣教師が、地元の猟師が持っていた白黒模様の毛皮に着目したことから、ジャイアントパンダの存在が世界的に知られることになるが、それ以前は中国国内でも生息地周辺の地元民しかジャイアントパンダの存在を知らなかった。

また、ジャイアントパンダは約300万年前に誕生してから、姿形をほとんど変えておらず「生きた化石」と呼ばれることもある。現在では絶滅の危機に瀕しており、野生化では1800頭余りしか残っていないと考えられている。
オカピ
「森の貴婦人」の異名を持つ「オカピ」は、コンゴ民主共和国の森林地帯に生息するシマウマのような生物だ。

前足と後足からお尻にかけてシマウマと同じようなストライプが入っているが、耳はロバのように大きく、頭部には角を持っている。さらにキリンのような青い舌はとても長く、耳まで届いてしまう。オカピは1000万年前には現在の姿になっていたと考えられており、当時の特徴を色濃く残した「生きた化石」とされている。

ちなみに、森の中で生活していたオカピの祖先たちの中から、草原地帯へ生活の場を移したグループが現在のキリンの祖先たちだと考えられている。オカピもジャイアントパンダ同様、1900年にイギリス人探検家によって毛皮が発見されるまでは、現地民のみが知る未確認生物だった。
コビトカバ
コビトカバは成体の体長が150-175cmしかない小型のカバ。カバ科の中で原始的な特徴を残した「生きた化石」と呼ばれている。

西アフリカの各地域に生息しているが、開発や水質汚染、食用や商業目的の乱獲により個体数が激減しており、各国に残った個体は数頭~数十頭というレベルだ。1800年代中期、アフリカで働かされていたアメリカ国籍の黒人奴隷がコビトカバを目撃し、帰国後に「ヤギくらいの大きさしかないカバがいる」と証言したものの、誰も信じなかったという。

その後、コビトカバの頭骨がアメリカ国内に持ち込まれ、新種のカバであると主張する学者がいたものの、学会はこれを「奇形のカバ」として認めなかった。1913年になって生きた個体が捕獲されたことで、ようやく「コビトカバ」の存在が認められることになったという。
カモノハシ
時おり世界三大珍獣の一つとされるカモノハシ。オーストラリア東部にのみ生息するクチバシを持った鳥のような哺乳類だ。さらに、子供を卵で産み、水かきのある後足の爪には毒を持っているなど、一般的な哺乳類とはかけ離れた特徴を持っている。

カモノハシも他の珍獣たちと同じく、ヨーロッパに初めて剥製が届られた際には、ビーバーのような生物に水鳥のクチバシを縫い合わせた偽物だと考えられたそうだ。
カモノハシも例にもれず「生きた化石」と呼ばれており、約250万年前の化石と現生のカモノハシに多くの共通点があるという。
世界三大珍獣が選ばれた理由
ここまで、世界三大珍獣と言われることのある動物たちを紹介してきた。珍しい動物は他にも存在しているのに、なぜ「ジャイアントパンダ・コビトカバ・オカピ」の3種が世界三大珍獣といわれるようになったのだろうか?

この三大珍獣を選んだのは動物園好きで知られる動物学者「高島春雄」氏であるという説が有力だ。今となっては三大珍獣の選定理由は明らかではないが、「生息数の少なさや生息域の狭さ・生物の学術的価値・発見されるまでの経緯がどれも面白い」など、他の珍獣では見られない面白い特徴が揃っていることが選定の理由となった可能性が高い。

2019年現在、「ジャイアントパンダ・オカピ・コビトカバ」の3種は、東京の上野動物園で見ることができる。世界三大珍獣が一堂に会するのは日本では上野動物園だけであり、世界的にも珍しい場所なのだ。
世界四大珍獣はボンゴ
「ジャイアントパンダ・オカピ・コビトカバ」の3種で「世界三大珍獣」とされているが、もう一種の動物を加えて「世界四大珍獣」という言葉も存在しているようだ。
栄誉ある4種目に選ばれた珍獣は、「ボンゴ」というウシ科の動物。体に10本ほどの奇妙な縞模様の入った不思議な生物だ。

発見されたのが20世紀中頃と研究の歴史が浅い上、人間の存在をいち早く察知して逃げるために詳しい生態は謎に包まれている。日本ではまだまだ知名度が低い動物であるが、海外では“世界一美しいレイヨウ”と賞されているそうだ。
もしかすると、「パンダブーム」の次は「ボンゴブーム」が到来するかもしれないぞ。