TVで芸人さんが「顔デカいからや」なんて言って笑いを取っていたけれど、鳥類界にも顔がデカいやつはいる。
それが今回紹介するハシビロコウさんだ。

確実に何人かヤってそうなするどい眼光…

明らかにミスマッチな異様なまでにデカい頭部。クチバシもデカい。
今日は、そんなハシビロコウの特徴や生態、寿命、コミュニケーションの方法などについて紹介したいと思います!
ハシビロコウ
ハシビロコウは、ペリカン目ハシビロコウ科ハシビロコウ属に分類される大型の鳥類。

身体に対してアンバランスな巨大な頭部と、20㎝を優に超える大きさのクチバシが特徴的。
1日のうちほとんど動かないことでも有名で『ハシビロコウを撮影していたTV番組のカメラマンがカメラの故障を疑ってしまった』という逸話もあるほど微動だにしないこともあるそう。
日本においては鳥類の中で一二を争う人気の動物だけど、生息地では人間の活動の影響で絶滅の危機に瀕している。
ハシビロコウの大きさ
ハシビロコウの成体は体長1m以上に成長し、大きなものでは1.5mを超えることもある。

翼を広げた大きさ(翼開長)は230-260㎝に達し、鳥類の中でも特に大型であることが分かる。体重は4-7Kgとかなり重めなのだけど、大きな翼を使ってちゃんと飛ぶこともできるようだ。
基本的に一人でいることが好きなハシビロコウは警戒すると翼を大きく広げて威嚇してくることもある。ガバッと翼を広げているハシビロコウには近づかない方がよさそうだ。
ハシビロコウの分類
現在ではペリカン目ハシビロコウ科ハシビロコウ属に分類されることが多いハシビロコウだが、かつてはコウノトリ目に含める説が主流とされていたらしい。

これがペリカン。デカいところ以外は全然似ていない気もするよね。
骨格がペリカンと似ていることからハシビロコウをペリカンの近縁種とする説は以前からあった。しかし、近年の遺伝子解析による研究の結果、ペリカン類と近縁であることが分かってきたのだとか。
ただし、分類については未だに諸説あるらしく、伝統的にコウノトリ目とする場合も多いようだ。
ハシビロコウの名前の由来
和名であるハシビロコウという名前は「クチバシの広いコウノトリ」という意味から名付けられている。

こちらはコウノトリ。どちらかと言えばツルに似ている気がする。
確かにコウノトリと見比べるとクチバシの大きさの違いに目が行ってしまう。
また、ハシビロコウの英名である『Shobill』は「靴のようなクチバシ」を意味しており、こちらも特徴的なクチバシが由来となっているようだ。
ハシビロコウの生息地
ハシビロコウが分布するのは「ウガンダ、コンゴ民主共和国、ザンビア、スーダン、タンザニア西部、中央アフリカ共和国、南スーダン、ルワンダ」などのアフリカ大陸。
ウガンダの湿地帯に立つハシビロコウ
アフリカというと乾燥した土地のイメージが強いが、ハシビロコウが生息するのはビクトリア湖をはじめとした湖の周辺や川があるような湿地帯だ。
葦やパピルスなどの背の高い草が生い茂る湿地にポツンと立っていることが多い。
ハシビロコウの生態
動物園ではずっと動かないことで有名なハシビロコウさん。普段はどのような生活をしているのだろうか?
ハシビロコウはなぜ動かない?
ハシビロコウといえば「ほとんど動かない」ということで有名となっているが、彼らだって動くときには動くし飛んだりもする。

だが、他の鳥類に比べると動きが小さく、時には彫刻のように固まってしまう事もある。
彼らが動かない理由は、自生地での狩りの方法にあった。
ハシビロコウは主に魚食性で、自生地ではハイギョと呼ばれる肺を持った魚を食べることが多い。肺魚は数時間に一度呼吸をするために水面に顔を出すのだが、この瞬間がハシビロコウにとって絶好の狩りのチャンスという訳だ。
ハシビロコウが素早く捕食する瞬間。※肺魚ではないよ
ハシビロコウは肺魚の獲れるポイントを熟知しており、ハイギョが呼吸をしに水面にやってくるのを何時間も待つ。
その間に動いてしまうとエサが取れなくなってしまうため、動かないことが得意になったのだ。
群れずに単独で活動する
ハシビロコウは単独での生活を好む孤高の鳥。基本的に、一日の大半をじっと動かずに突っ立っているだけだ。

ハシビロコウたちはピタリと止まったまま、獲物となる魚の警戒心が解けるのを待ち続ける。魚たちがハシビロコウの存在を忘れて足元に泳いできたときにガブリと捕まえるのだ。
確かに、いくら動かないことが得意なハシビロコウであっても大勢いては魚たちも近寄ってこないだろう。
オスとメスであっても一緒に生活させるのは難しいようで、人間の飼育下では繁殖に至った例は少ないらしい。
クチバシをカチカチ鳴らすクラッタリング
ハシビロコウは「ほとんど動かない」だけでなく「ほとんど鳴かない」という習性も持っており、代わりにクチバシをカチカチと鳴らすクラッタリングという行動を行うことがある。

クラッタリングは、コウノトリなどの鳴管(鳥類のもつ発声器官)が未発達な鳥が行う習性で、クチバシを叩き合わせるように激しく開閉して音を出す行為。求愛や威嚇、信頼の証など何らかのコミュニケーションのツールとして用いられる行動らしい。
ハシビロコウの場合は相手への信頼を示すときにカチカチやってるイメージが強いけど威嚇にも使うのかな?
信頼した相手には挨拶をする?
ハシビロコウは鳴かない代わりにクラッタリングを行うのだが、さらに信頼を示す場合にはお辞儀をすることもあるらしい。
上の動画に映っているのは静岡県にある掛川花鳥園で飼育されているハシビロコウ。
飼育員さんがお辞儀をすると、それに答えるようにフルフルと頭を揺らしながらお辞儀をしている。

以前何かのTV番組で実験をしていたのだが、ハシビロコウは誰にでもお辞儀をするという訳ではないらしい。
毎日世話をしてくれる飼育員さんなど心を開いた相手に対して行う行動のようだ。
ハシビロコウの食性
ハシビロコウが食べるのは主に魚類。先ほど紹介した『肺魚』のほか、『ポリプテルス・セネガルス、ティラピア、ナマズ』などを捕食する。

さらに、口に入るものなら何でも食べてしまうようで、『カエル、水棲のヘビ、ナイルオオトカゲ、子どものワニ』なども丸呑みしてしまうというから驚きだ。自分が何を食べているのか分かっているのだろうか?
身体の大きさから大食いなのかと思っていたが、飼育下では一日にニジマスを3匹与える程度らしい。※参考:神戸どうぶつ王国
ハシビロコウの寿命
ハシビロコウの寿命はハッキリと分かっていないようだが、30〜40年程が平均寿命であると考えられているそうだ。

伊豆シャボテン公園で飼育されている『ビルくん♂』は、日本で一番長生きしているハシビロコウで現在50歳ほどだと推定されている。
ビルくんは1971年、すでに大人の状態で来日。10年後の1981年から伊豆シャボテン公園で暮らしている。

ちなみに好物は魚のコイとのこと。なんだか、色々スゴイねビルくん。
結構動くときは動くよね。
今回は、ほとんど動かない鳥『ハシビロコウ』について紹介しました。

色々と調べてて思ったんだけど…
結構動くときは動くwww
下の動画では足がツルっと滑って、めっちゃ焦ってた。
他の動画を見ても、聞いていた以上にめっちゃお辞儀しまくるし頭フリフリしてました。

ハシビロコウは人為的な繁殖が難しいらしく、今後の状況によっては日本では見ることが出来ない鳥になってしまうかもしれません。
現在のところハシビロコウを飼育している動物園もちょこちょこあるので、見てみたい人は早めに見に行った方が良いかもしれない!