【ハダカデバネズミ】女王に布団係!社会性ネズミの生態がスゴイ!

体毛もない!目も見えない!すんごい出っ歯!奇妙な生物であることは間違いないハダカデバネズミの生態がすごい事が近年の研究で解明されつつある。

だ~くさんによる写真AC
  • 完全地中生活!
  • 老化しない!
  • 癌(ガン)への耐性が半端ない!
  • 無酸素環境でもしばらく死なない!
  • 女王や兵隊、布団係などで構成される!
  • 女王だけが繁殖を許される新社会性生物!
  • 巣を守るために自ら捕食される!

…などなど、今回はあまりに奇妙なハダカデバネズミの生態についてピックアップだ!

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ハダカデバネズミとは?

ハダカデバネズミはデバネズミ科に分類される齧歯類。アフリカ東部の乾燥地帯にのみ生息する希少な生物だ。

少し気持ち悪い見た目だけれど、れっきとした哺乳類でありネズミの一種。体長は10cm程度で、すごい出っ歯。体毛はほとんどなく、地中では必要のない視力も退化している。

ハダカデバネズミは「繁殖ネズミ」や「働きネズミ」など分業を行う社会性を持った動物ということが分かっている。

ハダカデバネズミの巣

ハダカデバネズミは一生のほとんどを地中で過ごす完全地中生活者であり、10〜290匹が集まり巨大な群れ(コロニー)を作る。

PublicDomain

前歯を使って土を崩しつつ、後ろ足を使って土を後方に掻き出していく。数十匹ものハダカデバネズミが協力して作り出す巣穴は、まるで蟻の巣のような複雑な形状をしている。

巣の長さは60匹程度の平均的な群れで、総距離3kmに達することもあるそうだ。

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役割分担をする真社会性

ハダカデバネズミのほとんどの個体は生殖機能を持たない。ハダカデバネズミの群れの中で繁殖能力を持つのは『女王』と呼ばれる1匹のメスと繁殖係である数匹のオスだけだ。

繁殖係以外のオスたちは働き蟻ならぬ働きネズミとなって巣の繁栄のために奮闘する。小型の個体は穴掘りや食料の調達、大型の個体は巣の防衛係として蛇などの天敵と戦う。

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このように、一部の個体だけが繁殖を行い、他の個体は巣全体のために活動する生物を「真社会性」と呼ぶ。蟻やスズメバチなどが代表例だ。


真社会性という形態をとる群れは哺乳類としてはとても珍しく、哺乳類の中ではデバネズミ科の「ハダカデバネズミ」と「ダマラランドデバネズミ」だけがこのような生態を持っていると考えられている。

女王と働きネズミの子育て

繁殖によって子どもを産んだ女王ネズミは授乳こそ行うものの、子育てに関しては一切関与しない。女王が産んだ子ネズミの子育てを行うのは、その他大勢の働きネズミたちだ。

Edward Russell CC 表示 2.0

子ネズミたちのお尻を舐めて排泄を促したり、遠くに動いてしまった子ネズミを元の場所まで連れ戻したりする。

ハダカデバネズミは温度変化の少ない土の中で生活することから体温調節機能が退化している。時には子ネズミたちの布団係となって身体を温めることもあるのだ。

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女王のフンを食べて育児モードに!

なぜ妊娠や出産をしていない働きネズミたちが、本能的に子ネズミたちの世話を行うのか。まるで女王ネズミから指示されたかのような奇妙な行動の裏には『女王のフン』が関係していたようだ。

妊娠した女王ネズミの体内では「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが増加する。エストロゲンは生物を子育てへと駆り立てる成分といってもいいだろう。

ハダカデバネズミの赤ちゃん。かわいい。

しかし、働きネズミたちは繁殖能力を持たないためエストロゲンを作り出すことができない。 そこで、繁殖能力を持たないハダカデバネズミたちはエストロゲンを多く持つ女王ネズミのフンを食べることで、体内にエストロゲンを吸収していたのだ。

エストロゲンを吸収したハダカデバネズミたちは、子ネズミの鳴き声に機敏に反応することが実験から証明されている。つまり、ハダカデバネズミたちは女王のフンによって子育てを指示されていたようだ。

ハダカデバネズミの寿命

ハダカデバネズミの寿命は15年以上。 女王ネズミでは最長28年2か月という生存記録もある。一般的なネズミの寿命が大体2~3年と言われることからみても、かなりの長寿であることが分かるだろう。

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一般に哺乳類の体重と寿命の間には正の相関というものが存在する。ネズミの仲間(げっ歯類)の中でもっとも大型であるカピバラが約10年の寿命を持っていることからも分かるように、身体が大きい方が長寿である傾向が強い。

しかし、ハダカデバネズミの場合、マウス程度の大きさであるのにかかわらず、カピバラの数倍の寿命を有しているのだ。

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ハダカデバネズミは老化しない?

ハダカデバネズミが長寿である理由として、老化に対して強い耐性があることが分かっている。

analogicusによるPixabay

哺乳類は成熟後、年齢を重ねるとともに死亡リスクが高まっていくのが通常だ。人間を例にすると、30歳以降は約8年をごとに死亡率が倍になるという説もある。一方で、ハダカデバネズミの場合は加齢による死亡率が変わらないという。

ハダカデバネズミの老化のメカニズムについては、現在でも研究が続いている。ハダカデバネズミが老化しない(もしくは老化に耐性がある)理由を解明することができれば、人類の寿命の限界を超えることができるかもしれない。

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ハダカデバネズミはガン耐性がある

更にハダカデバネズミはがんに対する強い耐性を持つことも分かった。

一定のサイズに達した細胞群に新たな細胞を増殖させない仕組みを持つp16という遺伝子を持っており、がん細胞の形成を阻害しているという。また、ハダカデバネズミが生成する高分子・高密度のヒアルロン酸もガン耐性の一因になっているそうだ。

ハダカデバネズミのガン耐性の仕組みが、人類のガン治療に役立つかどうかは未知数。今後ハダカデバネズミの研究が進めば、ガンに対抗するワクチンが開発される日が来るかもしれない。

無酸素状態でも耐える

ハダカデバネズミが最強と言われるのは寿命や病気に対する耐性だけではない。土の中で生活するハダカデバネズミは無酸素状態で長時間耐えることが出来るというのだ。

2017年に発表された研究結果によると、無酸素状態になったハダカデバネズミは酸素が一切無い環境で18分間耐えることが出来たうえ、大きなダメージも残らず活動を再開できた。さらに酸素濃度が5%の環境では、5時間ものあいだ生存することが可能ということも分かっている。

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無酸素状態のハダカデバネズミの体内からは、糖類の一種である果糖が増えていることが確認されている。呼吸というエネルギー生成方法から果糖を使った生命維持へと瞬時に切り替えることで、脳や心臓などの活動を行うことが出来ていたようだ。

この仕組みを詳しく解明していくことで「無酸素状態に陥った心停止患者の臓器の損傷を防ぐ治療法」が開発できるかもしれないそうだ。


不思議な生態を持つハダカデバネズミ。その生態を解き明かすことは、これまで不治の病と言われていた病気に対する治療方法へと繋がるのかもしれない。今後のハダカデバネズミ研究に期待しよう。