普通に暮らしていると感じることはないが、地球というのは私たちが思っている以上に穴だらけ。まるでトムとジェリーに出てくるチーズのようなものだ。
今日紹介する『水中洞窟―ヤコブの井戸』も、そんな無数に存在する穴の1つ。
ヤコブの井戸

アメリカ合衆国テキサス州の丘陵地帯「テキサス・ヒル・カントリー」。
大都市の近郊でありながら広大な自然と豊富な水資源を残す、この土地に『ヤコブの井戸』と呼ばれる水中洞窟が存在する。
この写真がヤコブの井戸と言われるスポットなのだが、井戸などどこにも見当たらない。

This photo of Jacob’s Well Natural Area-Hays County Parks is courtesy of TripAdvisor
一見すると現地の人々や観光客で賑わうただの天然プールにしか見えない。だが、よく見てみると、川底にポッカリと大きな穴が空いているのだ!

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この地帯の地層には、水に流されやすい石灰岩がふんだんに含まれており、川底から湧き出す水によって巨大な穴が作られたそう。
つまり、この穴はただの穴ではなく地下水が湧き出す『泉』なのだ。この地帯の地下水は周辺住民の飲料水としても使われているそうなので、まさしく『命の泉』といえる。

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現在ではアクティビティスポットとして観光客からも人気が高い。
怖すぎる内部の構造!
こんな穴を見てしまうとどうしても内部の構造が気になってしまう。

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このポッカリ空いた穴。いったいどこまで続いているのか・・・?
色々と調べてみると、内部に潜入し川底まで到達したダイバーが撮影した動画を見つけた。
調べたところによると、洞窟の開口部の大きさが直径3.7m。そこから垂直に9.1m進んだ所で川底に辿り着く。人が普通に入れるのはここまで。
さらに、川底には人が入れないほどの入り組んだ狭い横穴がたくさんあり、最深部は地上から37mの深さに達するとのこと。
ヤコブの井戸は地下を走る洞窟の一部であり、洞窟は1300m以上も続いているらしい。
潜水による死者も・・・
人間、あまりに非日常的な穴を見ると内部がどうなっているのか確かめたくなるもの。
この洞窟も例に漏れず、近くの岩場から飛び込む子供たちや、より深くまで潜水してみよう挑戦する人までいるようだ。

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しかし、洞窟潜水というのは特殊な訓練を受けてもいない素人が太刀打ちできるものでは無いらしい。
1964年以降、確認が取れているだけでも8人ものダイバーが潜水中の事故により犠牲になっている。
最深部では水温が極端に低くなっており、身体の感覚が麻痺することから「川底に足を引っ張られるようだった!」と証言するダイバーも多いという。
洞窟の中の最後の警告が怖い!
そんな事実を知ってか知らずか・・・ヤコブの井戸では洞窟の内部を覗こうと潜水に挑戦する者が後を絶たない。
洞窟の中には、そんな潜水者への最後の警告メッセージが掲げられている。これがあまりにも恐ろしいのでご紹介したい。
これが洞窟の縦穴を潜った所にある警告メッセージ。
わかりやすい死神のイラストに注意書きが添えられている。意訳してみるとこんな感じだ。

STOP!
あなたの命を守れ!
この先に進むな。このような水中洞窟で、インストラクターを含めた300人以上のダイバーが死んだ。
ダイビングのためにはトレーニングが必要だ。洞窟ダイビングには洞窟訓練と洞窟の装備が必要である。洞窟訓練と洞窟機器無しでは、ここで死ぬかもしれない。
それはあなたに起こるかもしれない!
この洞窟には、死んで得るような価値は何もない!
このポイントを越えてはならない。
・・・恐ろしい。ちなみに、この看板はアメリカ各地の危険な泉などで使われているようだ。
ここまで「どストレート」な注意書きは通常であれば効果てきめんかもしれない。
しかし、覗くなと言われると覗きたくなるのが人というもの。この場所では完全に逆効果な気がする・・・。