東南アジアに咲く幻の花『ショクダイオオコンニャク』。
人食い花を想像させる巨大な外見を持ち、鼻が曲がるような強烈な腐臭を発する奇妙な植物だ。めちゃくちゃ臭い匂いを放つが、数日間しか花を咲かせない幻の花なんだとか…。
今回は、そんなショクダイオオコンニャクのあまりに巨大な花の画像とともに、生息地や生態の謎、臭い匂いを放つ理由についてピックアップしてみよう!
ショクダイオオコンニャクとは?
ショクダイオオコンニャクとは、サトイモ科・コンニャク属に分類される多年性の塊根植物。別名をスマトラオオコンニャクという。
数年にたった2日間しか咲かないとされる巨大な花は、まるでファンタジーに登場する「人喰い花」のような見た目だ。
2009年にイギリス王立園芸協会が行ったインターネット投票では「世界で最も醜い花」という不名誉な称号を得ている。
ショクダイオオコンニャクは世界最大の花序を持つことで知られており、花の大きさは最大で3メートルを超え、土の中のコンニャクイモは70kgに達することもあるという。
また、ショクダイオオコンニャクは生息数が非常に少ないため、絶滅が危惧させている希少植物だ。
ショクダイオオコンニャクの大きさ
ショクダイオオコンニャクは世界最大の花(花序)を持つことで知られている。その大きさは最大で横幅1.5メートル、高さ3.5メートルに達しギネスブックに認定されたこともある。
同じく世界最大の花と称されるラフレシア・アーノルディの花が90cm程度なので、その大きさの違いは歴然だ。
ちなみに、ここでいうショクダイオオコンニャクの花とは花序とその付属体のこと。内部に小さな花が密集して咲いている状態であり、花単体としての大きさはそれほど大きい訳ではない。
一方でラフレシアの最大種『ラフレシアアーノルディ』は花単体での大きさが90cmに達するため、世界最大の花はラフレシアであるとされることも多い。
ショクダイオオコンニャクの名前の由来
ショクダイオオコンニャクは、巨大な花の形が燭台(ショクダイ)に似ていることから名付けられた。
燭台とはロウソクを立てる台座のこと。たしかにオシャレな装飾を施した燭台に見えないこともないが、燭台にしてはあまりに巨大だ。
その他にも、ショクダイオオコンニャクには様々な俗名が付けられている。開花の際に強烈な腐臭を発することから「死体花」、お化けのように見えることから「お化けコンニャク」など一風変わった呼び名が多いようだ。
ショクダイオオコンニャクの自生地と分布
ショクダイオオコンニャクの自生地はインドネシア本土やスマトラ島などの熱帯地方。地表まで光が届かないほどに多くの植物が重なり合う熱帯雨林の中でも、比較的ひらけた明るい場所に生えている。
数年のうち2日しか花を咲かせないことから幻の花と称されることも多いが、意外にも人里のすぐ近くなどに生えていることが多いそうだ。
ショクダイオオコンニャクの花
ここでは世界最大と言われるショクダイオオコンニャクの花について詳しく見ていこう。
花の構造
ショクダイオオコンニャクの花は、花序とその付属体によって構成されている。肉穂花序の先端は棍棒状の付属体となり、その下の仏炎苞に包まれた部分に花が密生している。
巨大な一つの花に見えるショクダイオオコンニャクだが、花単体としてはとても小さい。アジサイの花のように小さな花が集まって咲いているイメージだ。
仏炎苞の内部では上部に雄花、下部に雌花が別れて咲いており、ショクダイオオコンニャクの中に迷い込んだ昆虫によって受粉する仕組みになっている。
花が咲くまでの仕組み!
ショクダイオオコンニャクはタネを蒔いてから花が咲くまでに15年ほどかかるとされている。
種から発芽したショクダイオオコンニャクは、傘を逆さまに開いたような巨大な葉を毎年1枚だけ広げる。そして、葉から作り出した栄養を数年かけて土の中のコンニャクイモに蓄えるのだ。
十数年にわたって栄養を蓄積した後、準備が整うと地中から花芽が出芽する。10年以上もの準備期間をおいて開花した花であるが、花が咲いている期間は約2日だけ。受粉に成功すると一気に枯れ落ちてしまうため幻の花と称されているのだ。
ショクダイオオコンニャクはなぜ臭い?
ショクダイオオコンニャクの花はとても臭い。発花から約1ヶ月後、開花したショクダイオオコンニャクの花は2〜3日強烈な腐臭を漂わせて虫を誘き寄せる。
生ゴミとも肉の腐った臭いとも表現される強烈な悪臭は開花から約8時間後にピークに達する。その臭いに誘われた昆虫が花の内部に侵入し、雄しべと雌しべの間を飛び回ることで受粉するという仕組みだ。
ちなみに、同じ東南アジアに分布する植物「ラフレシア」も同様の仕組みで受粉する。昆虫を捕食する食虫植物と混同されがちだが、ラフレシアもショクダイオオコンニャクも昆虫を捕らえて栄養源にすることは無い。
ショクダイオオコンニャクは日本にもある?
ショクダイオオコンニャクは幻の花と称されるほど珍しい植物。
実際に見てみたい人は東南アジアのジャングルを冒険する必要がある…と言いたいところだが、実は日本でも栽培に成功しており、開花した事もあるそうだ。
日本で初めてショクダイオオコンニャクの開花に成功した小石川植物園をはじめ、フラワーパーク鹿児島、浜松フラワーパーク、筑波実験植物園、神代植物公園などで栽培が行われている。
日本で栽培されているとはいえ、日本での開花事例は未だ十数件しかない。開花に成功した場合も2日程度で枯れてしまうため、ショクダイオオコンニャクが幻の花であることには変わりない。
ショクダイオオコンニャクのコンニャク芋
ショクダイオオコンニャクはコンニャク属の植物。ということはコンニャクを作ることだってできるだろう。
コンニャク科の植物という事はショクダイオオコンニャクの根からコンニャクを作ったら、どのくらいの量のコンニャクが出来上がるのだろうか?
そこで、70kgのコンニャク芋からコンニャクを作った場合どのくらいのコンニャクが完成するのだろうか?
試算ではあるが計算してみたところ・・・なんと、1200枚のコンニャクが作れてしまうという恐ろしい結果が出てしまった。
全てにおいて予想を上回るショクダイオオコンニャク。機会があれば間近で見てみたいものだ。