マンチニールの実

【マンチニールの木】死亡事故も!死のリンゴの最悪の毒性と症状!

毒リンゴといえば童話『白雪姫』に登場するキーアイテムとして知られているが、毒リンゴは何もおとぎ話に限った話ではないようだ。

今回紹介するのは、フロリダなどに自生する『マンチニールの木』。猛毒のリンゴを実らせる『世界で最も危険な木』として恐れられている。

マンチニールの実
Jason Hollinger CC 表示 2.0

マンチニールの実を一口かじるだけで喉が引き裂かれるような痛みに襲われ、マンチニールの木の下では雨宿りをするだけで皮膚に強烈な痛みが生じるという。

猛毒植物『マンチニールの木』の自生地や『マンチニールの実』の特徴、食べた場合の味や危険性、毒性と症状などについて詳しくチェックしてみよう。

有毒植物

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マンチニールの木とは

マンチニールの木は、トウダイグサ科に属する高さ15mに成長する常葉樹。赤道に程近い北米南部〜南米北部にかけて自生している。海辺に生えることが多い事から別名『ビーチアップル』とも呼ばれている。

マンチニール
Gabriele Kothe-Heinrich CC 表示-継承 3.0

マンチニールは、世界中の数ある植物の中でも『最も危険な植物』の一つとされているが、驚くべきことに自生地では当たり前のように海岸沿いに生えていることもあるのだ。

海水浴を楽しむ家族連れがいる砂浜に、触れるだけで危険な果実が無数に転がっている光景は日本人からすれば異様としか言いようがない。

これほど危険なマンチニールの木が切り倒されずに存在しているのには理由がある。海岸の砂浜などの塩水が混じった汽水域でも成長できるマンチニールの木は、海上からの強い風を防ぐ防風林として活用されてきたのだ。

マンチニールの木
Mica CC 表示 3.0

砂浜に張り巡らされた根は、砂浜が波によって侵食されるのを防いでくれるため、海岸沿いで暮らす人々にとっては無くてはならないものになっている。

マンチニールの警告表示
-JvL- CC 表示 2.0

マンチニールが自生する一部地域では、危険植物に赤いペンキで『×』印を書くことで危険性を示すのが一般的となっているが、マンチニールだけは帯印や個別の看板を立てるなどして、表示方法が区別されているのも目にする。

それほど、マンチニールの木は、他の有害植物とは一線を画す猛毒植物なのだろう。

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マンチニールの実

マンチニールの木には、大きさ3~4㎝程度の青リンゴのような果実が実る。葉からは果実のような香りを漂わせ、一見すると常夏の島に生えた美味しいフルーツのように見える。

マンチニールの実
Dick Culbert CC 表示 2.0

しかし、このマンチニールの木と果実には人を死に至らしめるほどの猛毒が含まれているのだ。

マンチニールの実を一口食べれば食道が炎症を起こし、呼吸困難に陥るほどに患部が腫れ上がる。

誤ってマンチニールの実を食べてしまった患者は「はじめは心地よい甘みを感じたが、その後は徐々に胡椒のような味になり、喉が燃え、引き裂くような感覚と圧迫感へと変貌した」と語っている。

マンチニールの木の危険性は果実のみに留まらず、マンチニールの木の下で雨宿りを行うだけでも危険。マンチニールの葉や樹液に触れた雨水が皮膚に触れるだけで、我慢できないほどの激痛に襲われるという。

マンチニールの毒性と成分

マンチニールの木は、葉から実、木の幹に至るまで、その全てに毒を含んでいる。また、マンチニールの木を燃やすと、煙に溶け込んだ有毒物質によって角結膜炎を引き起こす。最悪の場合は失明する可能性もあるという。

これほど身近にある植物にも関わらず、マンチニールに含まれる毒の成分は全て解明されておらず、未だ謎に包まれているそうだ。

マンチニールの木
Public Domain

現在分かっている成分としては、ホルボールと呼ばれるアレルギー皮膚炎の原因となる物質など。この成分を含む樹液が皮膚に触れると、患部はたちまち水膨れを起こして腫れ上がるそうだ。

また、マンチニールの樹液は人のみならず車の塗装にも悪影響があると言われている。マンチニールの木の下に車を止め続けていると塗装が剥がれる…なんて話もあるらしい。

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武器としても利用されたマンチニールの毒

カリブ海に住んでいた先住民たちは、このマンチニールの樹液を矢の先端に塗ることで、矢の殺傷性を高めたと伝えられている。また、葉とともに水に溶かした毒を敵に盛ることで暗殺することもあったそうだ。

マンチニールの花
Jason Hollinger CC 表示 2.0

先住民に捕らえられた捕虜はマンチニールの樹に縛り付けられ、激痛を伴いながら殺されたとも伝えられている。

現在であればマンチニールを誤って食べた場合でも、適切な治療を施せば死に至る可能性は少ないと言われているが、医療の発達していなかった時代には、マンチニールの毒によって死亡した人物も多い。

PublicDomain

1521年、フロリダを発見したことで知られるスペインの探検家「フアン・ポンセ・デ・レオン」は、ネイティブアメリカンのカルーサ族の襲撃を受け、太ももに矢を受けて負傷した。

怪我自体は致命傷には至らなかったものの、矢じりにはマンチニールの毒が塗られていたため、毒が徐々に体力を奪い、その後の航海の途中で死亡したと伝えられている。

マンチニールには利用価値も!

危険な植物であることは間違いないマンチニールだが、驚くべきことに建材としての利用価値があるそうだ。

マンチニールの木材は、カリブ海沿岸の大工の間で優秀な建材として古くから利用されてきた。

マンチニールの木
Pancrat CC 表示-継承 3.0

もちろん、マンチニールの木は多量の毒を含んでいるため、そのままでは使えない。

そこで彼らはマンチニールの木材を天日干しにし、内部に残った毒を含む水分が完全に乾ききるのを待ってから使ったと言われている。

その他、原住民たちは、マンチニールの実はドライフルーツに加工することで、利尿薬として使用することもあったそうだ。

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マンチニールを克服した生物!

マンチニールの毒は、多くの動物にとって有害となりうるが、自生地にはマンチニールの毒を克服した生物も存在する。

Ctenosaura similisと呼ばれるイグアナの一種はマンチニールの実を難なく食べることで知られており、マンチニールの樹の上で生活することもあるという。

Chmehl CC BY 2.5

天敵となる生物にとってマンチニールの木は猛毒の塊に他ならない。イグアナにとっては、そこに住むだけで鉄壁のガードになるという特典付きだ。

実は、多くの生物にとって猛毒となる植物を克服してしまった生物というのはそれほど珍しい訳ではない。

オーストラリアの猛毒植物ギンピーギンピー
Cgoodwin

例えば、オーストラリアに自生する猛毒植物『ギンピーギンピー』は、巨大な馬すらも数枚の葉で殺してしまうほどの殺傷力を持つが、現地に生息するカンガルーにとっては貴重な食料となっている。