
46億年前に地球が誕生して以来、人類が現れる遥か以前から多くの生命体が存在していた。しかし、その歴史は過酷であり、スノーボールアースや巨大隕石の衝突、地球温暖化、人間による環境破壊、密猟、乱獲、外来種の脅威など様々な要因によって多くの種が絶滅してしまった。それでも、独自の進化を遂げた生物の中には、ほとんど姿を変えずに現代まで生き続ける「生きた化石/生きている化石」と呼ばれる植物が存在する。今回は、そんな植物10選を画像とともに詳しくご紹介していこう!
【生きた化石/生きている化石】とは?

「生きた化石/生きている化石」とは、太古の昔からほとんど姿を変えずに生き続けている生物を指す。これらの生物は、環境の大きな変化や進化の波をくぐり抜け、数億年もの長い時間を経て現代に至るまでその形を維持してきた驚異的な存在である。彼らは、地球の過去の姿を垣間見せてくれる生き証人であり、その存在は進化の不思議と多様性を私たちに教えてくれている。例えば、イチョウやシーラカンスがその代表。今回は、その中でも植物に焦点を当て、現代まで生き延びている「生きた化石/生きている化石」と呼ばれる植物10選をご紹介していこう。
【生きた化石/生きている化石】と呼ばれる植物10選
イチョウ

イチョウは約2億5000万年前に出現し、恐竜が生息していた時代から存在している植物。中生代のジュラ紀には、イチョウの仲間が多く存在していたが、氷河期を経てほとんどが絶滅した。現在残っているのは、イチョウの一種のみであり、他の近縁種は存在しない。
イチョウは、過去の化石と非常に似た形態を保っており、数百万年にわたってほとんど変化していないことが確認されている。このため、イチョウは進化の過程での変化が少ない「生きた化石」として認識されているのだ。
メタセコイア

メタセコイヤは約1億5000万年前に中生代に登場し、かつては北半球全体に広く分布していた。しかし、氷河期や気候変動の影響で多くの種が絶滅し、日本では約70万年前に姿を消したと考えられている。長い間、メタセコイヤは化石でしか知られておらず、絶滅したと信じられていたが、奇跡的に生存が確認され、その存在が再び注目されることとなった。
メタセコイアの化石

1946年、中国の四川省で生きたメタセコイヤが発見され、「生きた化石」として有名になった。この発見は、日本の化石学者・三木茂の研究から始まり、彼がメタセコイヤを新しい属として命名したことがきっかけ。三木の研究により、絶滅したと考えられていたメタセコイヤが実際に生きていることが確認され、世界中で注目された。化石と現存する個体が非常に似ているため、進化の過程でほとんど変わっていないことが示されており、「生きた化石」と呼ばれているのだ。
トクサ

トクサは約3億年前の古生代石炭紀から続く植物で、当時は森林の主要な構成要素だった。昔のトクサの仲間は巨大な樹木のような姿をしており、非常に多様だったが、現在ではトクサ属だけが生き残っている。古代の特徴を色濃く残していることから、トクサは「生きた化石」として知られている。
ウォレマイ・パイン

ウォレマイ・パインは約2億5000万年前から存在し、恐竜の時代からほとんど変わらない姿で生き残っている。かつては広く分布していたが、現在はオーストラリアの限られた地域にのみ自生している。化石記録からも、ジュラ紀には広く存在していたことが確認されているが、現在は非常に少数の個体しか残っていないため、その希少性から注目を集めている。
ウェルウィッチア

ウェルウィッチアは約2億5000万年前に出現し、恐竜の時代からほとんど変わらず生き続けている植物。古代の植物相の中でも主要な存在で、現代のものと形態的に非常に似ている。ウェルウィッチアは生涯にわたって成長し続ける2枚の大きな葉を持ち、時には数メートルに達する。茎は木質で高さは最大1.5メートル程度ですが、直径は8メートルにもなることがある。この独特な形態は、他の植物とは大きく異なる特徴である。
ソテツ

ソテツは約2億7000万年前の古生代ペルム紀に起源を持ち、中生代のジュラ紀には多様な種が繁栄していた。この時代、恐竜と共に生きたソテツは、その形をほとんど変えずに現代まで生き延びているため、「生きた化石」と呼ばれている。ソテツは乾燥や貧しい土壌、潮風、大気汚染に強く、厳しい環境にも適応できる能力を持っている。この適応力こそが、ソテツが長く生存してきた秘訣。
マツバラン

マツバランは約4億年前に地上に進出した最初の植物の一つで、その姿は非常に原始的。葉や根がなく、茎が二股に分かれるという特徴を持っている。このような構造は初期の陸上植物の特徴を色濃く残しており、進化の過程でほとんど変化していないため、「生きた化石」と呼ばれている。
コウヤマキ

コウヤマキは、約2億3000万年前の三畳紀にまで遡る化石記録があり、当時の形態をほぼそのまま維持している植物。これは、他の多くの植物が絶滅する中で、コウヤマキだけが生き残った証拠。特にコウヤマキは裸子植物の中で唯一現存している種であり、他の近縁種はすでに絶滅しているため、その存在は非常に貴重となっている。
アムボレラ

アムボレラは約1億4000万年前の白亜紀初期に登場した最初の被子植物の一つで、形態が古代の植物に非常に近いことから「生きた化石」と呼ばれている。他の被子植物と比べて進化がほとんど進んでおらず、古代の特徴を色濃く残している点が注目されている。
チリマツ

チリマツは約1億6000万年前のジュラ紀に登場し、恐竜と共に存在していた古代の植物。形態はほとんど変わっておらず、「生きた化石」と呼ばれている。その針のように尖った葉の形から「モンキーパズル」とも呼ばれ、動物が登りにくいことが名前の由来となっている。このように、チリマツは古代の姿を今に伝える植物であり、進化の証人といえる存在なのだ。