「動物が苦手!」という方に何が嫌なのか聞いてみると、「動物は噛むじゃん!」という答えが返ってくることがあります。・・・過去に何かあったのでしょうか。
しかし、そんな動物嫌いな人の中には「植物なら好き!」という方も多いようですね。
そんな方は要注意!彼らは時として、私たち人間・・・つまり捕食者に対して何かしらの攻撃をしてくることがあります。何もしないなんてことは無いのです。
例えば、毒を持った植物もいれば、トゲを持ったものもいます。そして、地味に嫌なのが、めっちゃ臭い匂いを放つことで精神的に攻撃してくる植物たち!
そこで今回は、そんなめっちゃ臭い世界の植物達をピックアップしてみました!
臭い植物
1.銀杏(イチョウ)
まずは、日本人なら馴染みの深いであろう『銀杏』を紹介します。

イチョウは日本全国に分布する植物で、その種は『銀杏(ぎんなん)』と呼ばれて食用とされています。銀杏はイチョウの種子部分ですが、その種子を包み込む外皮は、熟すと強烈な異臭を放ち始めることは有名ですね。
異臭の主成分は酪酸とヘプタン酸というもので、この異臭を嫌うニホンザルやネズミなどの捕食者を寄せ付けない効果があるとのこと。つまり、食べられないように臭い匂いを発しているのです。
ちなみに、人間は外皮を剥いて種子部分だけを食べ、アライグマは臭くても平気なようで普通に食べる。アライグマ強し。

茶碗蒸しなどの日本料理で引っ張りだこの銀杏ですが、銀杏を食べ過ぎると中毒症状を起こすこともあるので注意が必要です。
太平洋戦争前後の食糧難の時期には中毒報告が多かったそうで、1日5~6粒程度でも痙攣などの中毒になることもあったそう。最悪の場合、死に至る・・・。
5歳未満程度の小児は中毒を引き起こしやすいそうなので、基本的には食べさせない方が無難かも!
2.ドリアン
やはり臭い植物と言えばコレ!ドリアン!
マレー半島を中心に東南アジアに分布する果物です。

現地では普通に手に入れることが出来る果物ですが、あまりに臭いがきつい為、飛行機やホテルへの持ち込みが禁止されているレベル。
東南アジアの一部の国では、「ドリアンを食べながら酒を飲むと死ぬ。」という謎の迷信もあるそう。臭いとの因果関係は分かりませんが、何となく危険な雰囲気なのでしょう。

豊富な栄養を含む果物「ドリアン」は、『果物の王様』なんて言われることもあります。
・・・が、肝心な食べれる部分が臭いのです。
「玉ねぎの腐敗臭」や「生ごみ」、「都市ガスが漏れたような臭い」といった、よくわからない例えをされるのですが、ドリアンの臭いは嗅いだことのある人にしか分からないと思います。
食べれる部分は種子の周りの柔らかい部分だけ。大きな実の割りに損した気分になりますね。人によっては最高に美味しいと感じるらしいです。・・・ちなみに僕は苦手でした。

ちなみに、ドリアンの木は20~30mの大きさに育つそうで、1本の木から100~200個のドリアンが取れるそうです。
3.ラフレシア
次に紹介するのは、同じく東南アジア原産のラフレシア。
他の植物の木の根に寄生して、巨大な花を咲かせる事で繁殖する寄生植物です。

最大90㎝にも達する異様な大きさと、死肉のような臭いを放つことから、発見された当初は「人食い植物ではないか?」と恐れられたといいます。
ラフレシアが臭い理由は、動物の死骸などに群がるハエをお引き寄せるため。
このことから、ハエを食べる食虫植物だと勘違いされがちですが、ラフレシアはハエの身体に花粉を付けることで受粉を行っているだけなのです。

ラフレシアの花は繁殖のための数日間しか咲かず、一生のほとんどを土の中で過ごすため、見つけることが出来た時点でラッキーとのこと。
しかも、臭いのはそのうちの短期間だけなので、『ラフレシア臭っ!』と思ったことのある方は超絶ラッキーなのです。
4.ショクダイオオコンニャク
インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林に自生するショクダイオオコンニャク。
世界最大の花を持ち、世界一臭いと言われることもある、かなりぶっ飛んだ植物です。

花序と仏炎苞の複合体は直径1.5mに達するとされ、縦の長さで3.5mまでになった記録もあるとのこと。まずでけぇ。
そして花が咲くのが7年に1度だけ!
開花後8時間ほどで最高潮に達する『動物の死体臭』は、周囲にいる死体に群がる甲虫たちをおびき寄せます。
花の内部は滑り台のようになっており、体に花粉を付けた昆虫たちが滑り落ちることで受粉するのです。仕組みが食虫植物のようですが、昆虫を食べているわけではありません。
このショクダイオオコンニャクもラフレシア同様、開花から2日程度で枯れてしまう伝説の花なのだそう。見たいけど臭い。

ちなみに、ショクダイという名前は、ろうそくを立てるための『燭台』に形が似ていることが由来。
コンニャクという名前が付いている通り、サトイモ科・コンニャク属の植物で、頑張ればショクダイオオコンニャクのコンニャクも作れるかもしれない。
5.ザゼンソウ(スカンク・キャベツ)
ザゼンソウはサトイモ科ザゼンソウ属の植物で、アメリカ~日本まで広く分布している植物です。

そもそも、サトイモ科の植物の花は臭い匂いがするものが多いと言われていますが、様々な種類が存在するサトイモ科の植物の中でも、この『ザゼンソウ』の花は群を抜いて『臭い』と言われています。
一部のネットメディアでは、ミズバショウと混同されていたり、海外の一部の島にしか自生していない幻の花として説明されているようです。(僕がなにか勘違いしているだけならスミマセン・・・。)

同じサトイモ科であるミズバショウ。こちらも時期によってはそこそこ臭いらしい。
このザゼンソウ。日本では座禅を組んだ姿を連想することから『座禅草』という名前が付けられていますが、アメリカではザゼンソウ特有の臭い匂いから『スカンクキャベツ』と呼ばれているそうです。

スカンクはおなら(正確には肛門から飛び出す分泌液)が臭い事で有名な動物です。アメリカでは、ザゼンソウの臭いを嗅いだ人が「近くに怒ったスカンクがいるのでは?」と勘違いしたとかしてないとか・・・。
スカンクは敵を撃退するために臭いおならをしますが、ザゼンソウが臭い理由は、ラフレシアやショクダイオオコンニャクと同じく『虫を集めて受粉する』ため。つまり、臭ければ臭いほど繁殖できるのです。

一見、臭い匂いをちょっとバカにされているような名前のスカンクキャベツ(ザゼンソウ)ですが、植物にしては珍しく『自身で発熱する能力をもっており、周囲に積もった雪を溶かしてしまう』そうです。
また、自身の温度を上げる能力を持っていることで、より強烈な臭いを発することが出来ます。
この発熱のメカニズムを利用し植物の品種改良を行うことができれば、寒さに強い作物を生み出せる可能性があるとして一部の研究者からは期待の星と考えられています。
6.スタペリア(オオバナサイカクなど)
南アフリカ原産のガガイモ科スタペリア属の植物『スタぺリア(別名オオバナサイカクなど)』は、最大40センチにもなる大きな花を咲かせる多肉植物の一種。
一見すると綺麗な花のようにも見えますが、よく見ると花には大量の毛が生えており、かなり気持ち悪いと思います。
このスペタリアは、ラフレシアやザゼンソウなどと同じように動物の死肉が腐った臭いでハエをおびき寄せます。
スペタリアの花の色や模様は動物の肉を表現しており、死骸に卵を産み付ける習慣のあるハエたちが死肉だと勘違いして集まります。
産卵のために動き回るハエはもちろん、産み付けられた卵から孵ったハエのうじ虫がエサを探し回ることをも利用して受粉するのです。
ハエの卵は、本来ならば動物の死骸などに産み付けられるはずです。間違って産み付けられた卵から孵ったハエの幼虫たちは、花びらの上で生まれても十分な栄養がない為、生き抜くことは難しいのでしょう。

上写真を見て分かるように、茎の形が柱サボテンにも似ていますが全く異なる品種です。「サボテンと思って育てていたら気持ちの悪い花が咲いた。」という人もいるようです。

品種によっては最大の直径が40センチにも達する大きな花びらは、そのおぞましい外観と強烈な腐敗臭から『悪魔の花』とも呼ばれています。
一番怖いのはつぼみが開くところです。つぼみの状態ではそこまで気持ち悪くありませんよね・・・?
しかし、少し花が開き始めると、まるで獲物を狙う牙のような産毛がびっしりと生えているのです・・・。
そのうえ、動物の死骸のような異臭を放つ種類もいるのです。きっと、この植物を初めて見た人は驚いたと思いますよ。
7.ヒドノラ
ヒドノラ科の植物は、アフリカなどの乾燥地帯に分布している寄生植物です。
ヒドノラは、ラフレシアと同じく他の植物に寄生し、動物が腐ったような臭いで虫をおびき寄せて受粉させます。
見た目が完全にクリーチャー的なので、そのまま虫を食べるのではないか?と考えてしまいますが、食虫植物ではありません。ちなみに写真では巨大に見えますが、実際には8㎝程度らしいです。
少し面白いのが、臭いで集める虫の中にはハエ以外にもフンコロガシなども含まれているという事。地域柄が生態にも表れているようですね。
ヒノドラ科は全寄生植物で、中々ハッキリとした情報が見つかりませんでした。詳しい方がいらっしゃったら情報お待ちしてます。
まとめ:臭い植物は大体グロイ!
7つの激臭植物をご紹介しましたがいかがでしたか?
ちょっと気が付いたのですが、臭い植物って大体グロテスク!・・・ですね。
世界には臭いだけでなく、人間の命を奪ってしまうような危険な植物まで、まだまだ多くの植物が存在しています。
冒頭でお話しした『植物=体にいいもの=安全』と勘違いしている友人にもしっかり言って聞かせたいと思います。