滝と言えば多くの方が想像するであろう『ナイアガラの滝』!・・・ですが、意外とナイアガラの滝が3つの滝で構成されることや、世界遺産になれていないことなどは知られていません。
そこで今日は世界三大瀑布の一つ『ナイアガラの滝』にスポットを当ててみたいと思います。
ナイアガラの滝
ナイアガラの滝とは?
世界最大級の面積を誇る五大湖ー。
その五大湖のひとつであるエリー湖からオンタリオ湖を繋ぐナイアガラ川に「ナイアガラの滝」とよばれる巨大な滝が存在します。
滝の落差は50m程でそれほど大きくはありませんが、毎秒200万リットルという桁外れの大量の水が流れ落ち、単独の滝としては北米最大。
その計り知れない壮大さから、日本ではイグアスの滝・ヴィクトリアの滝と並び「世界三大瀑布※」と称されています。※瀑布=滝のこと。
ちなみに、アメリカとカナダの国境はナイアガラ川に沿って引かれたため、ナイアガラの滝を挟んだ北側はカナダ・南側はアメリカ合衆国となっています。
ナイアガラにある3つの滝
ナイアガラの滝は一つの滝ではなく『アメリカ滝・カナダ滝・ブライダルベール滝』と呼ばれる3つの滝からなります。ここではそれぞれの滝について詳しく見ていきましょう。
カナダ滝
3つある滝の中で最も大きく、滝幅671m・落差53mの巨大さで知られているカナダ滝。
カナダ側にあることからカナダ滝と呼ばれていますが、馬蹄のような形をしていることから別名「ホースシュー・フォールズ」とも呼ばれます。
ナイアガラ川を流れる水のうち90%がカナダ滝を通過し、滝が見えなくなるほどの大規模な水煙を作り出します。
アメリカ滝
ゴート島で二手に別れたナイアガラ川の10%は、カナダ滝よりも下流のアメリカ側にあるアメリカ滝から流れ落ちます。
2手に別れた左側の大きな滝がアメリカ滝で、右側の小さなものがブライダルベール滝です。
アメリカ滝の大きさは、滝幅260m・落差57mとカナダ滝よりも少し小さめ。滝が流れ落ちる部分には上流からの落石が積もっているため滝の長さも短く感じます。
ブライダルベール滝
アメリカ滝のすぐ横、ルナ島を挟んで流れる落ちるのはブライダルベール滝。滝幅15mの1番小規模な滝です。過去にはルナ滝やイリス滝とも呼ばれていました。
ブライダルベール滝には風の洞窟と呼ばれるアトラクションがあり、滝の流れ落ちる様子を滝のすぐ近くから観覧することができます。
周辺スポットは意外と近代的
壮大なスケールのナイアガラの滝。大自然の中にあるイメージがありますが、実際のナイアガラの滝周辺は観光地化が進んだ近代的な街並みです。
18世紀頃には、すでに観光地としての人気が高まっており吊り橋や道路などが設けられました。19世紀初頭にはナポレオン・ボナパルトの弟ジェローム・ボナパルトをはじめとした多くの有名人が訪れています。
ナイアガラの滝を一望できるカナダ側の周辺地域には、現在も多くのホテルやカジノ、レジャー施設が立ち並び、昼夜問わず多くの観光客で賑わいます。
ナイアガラの滝は消滅するところだった
最大毎分168,000m³もの水が流れ落ちるナイアガラの滝ですが、この水量が人の手によりコントロールされていることはあまり知られていません。
18世紀には観光地として成功していたナイアガラの滝でしたが、水が流れ落ちる際にかかる水圧により滝が侵食されていくのではないかと懸念されていました。
当時は1年に1mずつ上流へと移動しており、このままでは美しい景観が崩れるばかりか、浸食が続けば上流のエリー湖に埋没して無くなってしまう可能性もあります。
そこで1960年代、馬蹄形状の滝へ流れ込む水量を均等にする大規模な工事が行われ、現在では年間3cm程度まで侵食を抑えることに成功しました。これにより、ナイアガラの滝の消滅は2万5000年後まで延長されました。
現在では、大規模なダムの建設により、観光客でにぎわう夏場の日中に大量放水を行い、冬や夜間には水量を抑えてられています。世界最大規模の水力発電施設としても有名です。
ナイアガラの滝は世界遺産ではない!
世界的に知名度が高く、最大級の水量を誇るナイアガラの滝ですが、意外にも「世界三大瀑布」の中で唯一『世界遺産』として登録されていません。
その理由としては、崩壊を防ぐために水量がコントロールされていることや、観光地として周辺が整備されていること。その他にも、カナダとアメリカの国境に位置するナイアガラの滝は、国ごとに申請することが定められた世界遺産への申請が難しいなどの理由が挙げられます。
世界遺産へ申請するとなると、商業的に成功している周辺地域への悪影響や管理面でのデメリットも考えられるため、今後も世界遺産へ登録されることはなさそうです。それでも世界有数の絶景に変わりはありませんので一度は訪れてみたいものですね。
ナイアガラの滝の見所
ナイアガラの滝にいくなら思う存分満喫したい!そんな方のため、ナイアガラの滝を120%楽しむための見所を紹介します。
一望するならカナダ側
ナイアガラの滝というとアメリカのイメージが強い方も多いかもしれませんが、ナイアガラの滝を一望したいのであればカナダ側からでなければなりません。アメリカ側からではアメリカ滝はもちろん、カナダ滝も横から見る形となってしまいます。
アメリカ側からナイアガラの滝に到着したとしても、ナイアガラ川には人や車両が渡るための橋が多く架けられているため、簡単にカナダ側に移動することができます。
スカイロンタワー
あまりに大きいナイアガラの滝。全体を俯瞰したいと思ったらカナダ側にあるスカイロンタワーがおすすめです。高さ160mのタワーからはアメリカ滝とカナダ滝の両方を見渡すことが出来ます。

1965年に建てられたスカイロンタワー。当時の雰囲気を残しつつ夜間はライトアップされるロマンチックなスポットです。展望所にはレストランも設置されており、滝を見ながら食事を楽しむこともできます。
風の洞窟
アメリカ滝に設置されたアトラクションの一つに『風の洞窟』と呼ばれるものがあります。
このアトラクションでは、『風の洞窟』と呼ばれるトンネルを通ってブライダルベール滝の真下(裏側)まで歩いていき、全身で滝の水煙を浴びることが出来ます。大量の水が巻き起こす爆音は、目の前で落雷が起きているような感覚を覚えるそうです。
遊覧船 – 霧の乙女号
風の洞窟では一番小規模なブライダルベール滝の近くまでしか行けませんでしたが、遊覧船『霧の乙女号』に乗船すればカナダ滝の滝つぼまで接近することが出来ます。
霧の乙女号は、1846年にカナダ側とアメリカ側とを結ぶために運航を開始したフェリー船でしたが、乗客の減少に伴い1854年に観光用の遊覧船として運用を始めました。「マリリン・モンロー」や「ダイアナ妃」をはじめとした多くの著名人も乗船しています。
ただし、エリー湖から氷が流れてくる冬場~春先にかけては運航が中止されます。
冬には凍ることも
ナイアガラの滝は冬場になるとオフシーズンとなり観光客もめっきり少なくなります。-5℃にも達する最低気温はアメリカ滝の一部を凍らせてしまう事もあり、夏場とは違った幻想的な風景を楽しむことが出来ます。
観光客が少なくなるこの時期には、イルミネーションなどの期間限定のイベントなども開催されているようなので、冬のナイアガラも穴場かもしれませんね。
ライトアップ!幻想的な夜の滝
ナイアガラの滝は日中に訪れる観光客が多いようですが、夜間になると滝全体がライトアップされ、お昼とは全く違う表情を見せてくれます。大自然と人工物が混じり合うロマンチックな絶景はカップルの観光客に人気のようです。

ちなみにこのライトアップが始まったのは今から150年以上も前の1860年。ウェールズ大公のナイアガラ訪問を歓迎する目的で始まって以降、一次二次世界大戦と1938年の大寒波によるトラブル以外では、休むことなく続けられているそうです。
今回は「世界三大瀑布―ナイアガラの滝」についてご紹介しました。
今回紹介した以外にも、アメリカ合衆国の誕生~現在までの歴史と深い関わりがあったり、多くの著名人が訪れていたりと・・・何かと面白い話が尽きないナイアガラの滝。
アメリカやカナダ旅行の際には絶対に立ち寄ってみたいですね!