ゴビ砂漠周辺に生息すると伝えれる謎の巨大未確認生物『モンゴリアンデスワーム』
チュパカブラや日本のツチノコなどと同じUMA(=未確認生物)でありながら、実在する可能性が高いとされる巨大生物だ。
今回は、大きさ1mを超えると言われる巨大生物『モンゴリアン・デス・ワーム』について、大きさなどの特徴、生息地や食べ物などの生態、実在の信憑性や正体について考察してみよう!
モンゴリアンデスワーム
モンゴリアンデスワームとは?
モンゴリアン・デス・ワーム(Mongolian Death Worm) は、中国の内モンゴル自治区からモンゴルにかけて広がるゴビ砂漠に生息すると噂される未確認生物UMAの一種。
巨大なミミズや芋虫のような姿とされており、その姿が牛の腸に似ていることから現地では『腸虫』を意味する「オルゴイホルホイ(olgoi-khorkhoi)」という名前で呼ばれている。
見た目に関しては諸説あるものの、節のある胴体と鋭い4本の牙といったイメージは、まさに実在する海洋生物であるオニイソメにそっくりだ。
ちなみに、「モンゴリアンデスワームの死骸」としてネット上で紹介されているものの中には、イソメ目の生物の死骸を乾燥させたものも確認できる。
モンゴリアンデスワームは、1800年代から目撃例が報告されていると言われているが、未だに捕獲に成功した例はない。
モンゴリアンデスワームを撮影したとされる動画や写真も数多く存在しているが、その多くが見間違いかフェイクであることが判明しており、存在を決定付ける証拠にはなっていないのが現状だ。
一方で、2005年にはイギリスの研究チームが本格的なモンゴリアン・デス・ワームの捜索を実施するなど、実在する可能性が高いと噂される未確認生物でもある。
モンゴリアンデスワームの大きさ
推定されるモンゴリアンデスワームの大きさは、最大全長1.5m、体重9Kgにも達する。
1992年――。アメリカ合衆国の探検家で、映画インディジョーンズのモデルの一人としても知られる『ロイ・チャップマン・アンドリュース』は、当時の首相を含むモンゴル政府の役人達から直接モンゴリアンデスワームについて説明を受けたと言われている。
アンドリュースが1926年に発表した「On the Trail of Ancient Man」という書籍では、モンゴリアンデスワームについて説明したモンゴル首相の言葉として以下のように記されている。
It is shaped like a sausage about two feet long, has no head nor leg and it is so poisonous that merely to touch it means instant death. It lives in the most desolate parts of the Gobi Desert.
『On the Trail of Ancient Man』著: Roy Chapman Andrews
『意訳:モンゴリアンデスワームの長さはおよそ2フィート(約60㎝)。ソーセージのような形をしており、頭も脚もない。そして、触れるだけで即死するほどの猛毒。それは、ゴビ砂漠で最も乾燥した地域に生息している。』
話の信憑性については確認することはできないが、当時のモンゴル政府の役人たち、また首相までもが『モンゴリアンデスワーム』の存在を信じ切っているというのが興味深い内容だ。
モンゴリアンデスワームの生態
モンゴリアンデスワームの生態について、目撃者から語られる内容は様々だ。
「人を即死させるほどの猛毒を吐く」といった内容から、「離れた相手に電撃砲のような刺激を与える」といった突拍子もない話まで語り継がれている。
体色は暗い赤色をしているとされているが、発光するデスワームの目撃談もあるという。普段は砂丘などの乾燥した砂地の地中に潜んでおり、雨季が訪れる6月から7月にかけては、巣穴が水によって氾濫するため地表に現れることもあるそうだ。
生息地であるゴビ砂漠に生えるGoyoという毒性の寄生植物から毒の成分を体内へと補給する。獲物を見つけると飛び掛かって霧状の黄色の毒液を噴射するという。
「1800年代初頭には数百人のロシア人調査団がモンゴリアンデスワームによって死亡した。」「生息地周辺では数百人もの人々がモンゴリアンデスワームの犠牲になっている。」という話が語られることも多いが、海外の情報を調査してみても新聞などの信頼できる情報源は確認できなかった。
おそらく、モンゴリアンデスワームに関する情報の多くは、人から人へと伝えられていく中で誇張されていったのだろう。
モンゴリアンデスワームの探索
1990年から2004年にかけて、チェコの探検家であるイヴァン・マッカーレ氏は計3回に渡るモンゴリアンデスワームを探すための大々的な捜索に乗り出した。
地中に住むモンゴリアンデスワームを見つけ出すために、彼が着目した捕獲方法は、釣り用のミミズを集めるときに使用されてきた「ワームチャーミング」と呼ばれる技術だった。
ワーミングチャームは、土壌に打った杭に特殊な振動を与えることで、地中にいるミミズが地表へと出てくる習性を使ったミミズ捕獲法。これをゴビ砂漠の地中に使用することで、モンゴリアンデスワームをあぶり出そうと考えたのだ。
現在もモンゴリアンデスワームが未確認生物であることから分かるように、残念ながらワーミングチャームではモンゴリアンデスワームを発見するに至らなかった。最終的にモンゴリアンデスワームの正体は、砂漠の暑さによってもたらされた幻覚であったと結論付けたようだ。
その後、2005年には未確認生物について研究を行う「Fortean Zoologyセンター」のチャードフリーマン率いる調査隊が捜索を行った。今回は、モンゴリアンデスワームが雨季にのみ姿を現すという噂をもとに、生息地に水を流し込むことであぶり出す作戦を実行した。
大規模な捜索活動を行ったが、残念なことにデスワームの発見に至らず、彼らは「モンゴリアンデスワームは未知の爬虫類との見間違えだった」と結論付けた。
モンゴリアンデスワームは嘘?
モンゴリアンデスワームは本当に実在するのか?それともしないのか?その正体は何なのだろうか…。
ここ数年、「モンゴリアンデスワームは実在することが確定した!」と主張するネット記事やオカルト書籍が溢れているが、その出典元を辿っていくと”たった数名”の学者の憶測的な発言によるものだという事が分かる。
たった数名の学者が何気なく発言した一言が、ネット上に取り上げられ、コピーされ続けた結果、あたかも「長年に渡る研究の結果、実在が確定した」かのように広がってしまった。
モンゴリアンデスワームが”存在することが確定した”という情報については、完全な『フェイク=嘘の情報』だったようだ。
モンゴリアンデスワームの正体
それでは、モンゴリアンデスワームの目撃情報は何だったのか?最後に、モンゴリアンデスワームの正体ではないかと考えられている生物についてピックアップしていこう。
ミミズトカゲ(ワームリザード)
ミミズトカゲとは、地中生活に適応するために四肢を退化させた爬虫類だ。その見た目はヘビともミミズとも例えられ、最大種であるシロハラミミズトカゲは体長80㎝以上に達する。
また、地中に掘ったトンネルを住処としている点、小型の脊椎動物を襲う獰猛な捕食者だという点、ヘビのように蛇行することなく体の伸縮運動によって移動する点などが、モンゴリアンデスワームの特徴と一致している。
ミミズトカゲの生息域にモンゴルは含まれていないが、新種や未発見のミミズトカゲが存在するとすれば、モンゴリアンデスワームと見間違える可能性も否定できない。
スナボア
スナボアは、砂漠や草原に生息するヘビの一種。全長100㎝程度にまで成長し、最大全長が900㎝に達するオオアナコンダの近縁種でもある。
スナボアもモンゴリアンデスワーム同様、普段は砂の中で身を潜めることで知られている。普段は眼と吻端だけを地表から出して獲物を待ち伏せし、射程距離に入った獲物に飛び付いて絞め殺す。
食性は肉食性で、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など口に入る物なら何でも食べるようだ。
デスアダー
デスアダーは、オーストラリアやニューギニア周辺に生息するコブラの一種。
体長は70~100㎝に達し、世界の中でも危険な毒ヘビのひとつとされている。デスアダーの持つ神経毒は非常に強力であり、死亡率は50%に達するとする書籍もあるほど。
デスアダーの一種であるコモンデスアダーは砂地の中に身を隠し、トゲの付いた尾を振って獲物であるトカゲを誘き出して捕食する。
デスアダーは、あらゆる毒蛇の中でも最も早い攻撃速度を持っており、 0.15秒以内に獲物に毒を注入したうえで元の体勢に戻ることができるという。
モンゴリアンデスワームの攻撃速度に関するウワサや、死亡率に関する言い伝えの事を考えると、デスアダーをはじめとするコブラの一種がモンゴリアンデスワームの正体であると考えることもできるだろう。
現在のところ、モンゴリアンデスワームの発見はおろか、写真の1枚すら撮影に成功した例はない。
「モンゴリアンデスワームは実在が確定した」とするオカルト系ネットニュースは多いが、あくまで研究者の憶測の域をでない状況のようだ。
しかし、確認されていない=未確認生物だからといって、存在自体が否定された訳ではない。もしかすると、モンゴリアンデスワーム発見のニュースが世界中に広まるのは明日かもしれない。